奈良県の地場スーパー研究 【第一回】いそかわ
奈良県の地場スーパーマーケット(ローカルスーパー)を紹介するシリーズです。
第一回は、かつて奈良県中にその名を轟かせたスーパー・いそかわ。
簡単な沿革
1946年 磯川商店設立
1960年 会社設立、奈良店開業(後に三条店となり閉店)
1965年 ㈱いそかわに社名変更
~ 生駒市、橿原市、大和郡山市など奈良県各地の他、大阪府にも出店
1983年 林小路町から北永井町へ本部移転
~ 京都府にも進出
2000年 新業態・パケットの1号店開業
2005年 経営破綻
2006年 マルヤスの完全子会社化
北永井町から押熊町へ本部移転
各店舗の開業は後で紹介するとして、ざっとこんな感じ。
現在では奈良市周辺と京都に出店するいそかわだが、昔はいろんなところにあったことが分かるだろう。元気に営業している今となっては信じられないが、一度経営破綻している。
現役店舗紹介
それではお待ちかね、今も活躍するいそかわの店舗(奈良県内)を紹介する。
いそかわあやめ池店
1963年開業とも言われる超古参店だが、2008年建て替え再開業。いそかわの店舗の中で最も新しい建物でありながら、奈良店(後の三条店)に次ぐ2店舗目でもあり、いそかわを語る上で欠かせない店舗。
菖蒲池駅前の住宅地の中にある小型店。
いそかわイトーピア店
生駒市鹿ノ台に1979年開業。登美ケ丘のさらに北であり、公共交通機関での訪問難易度が高い。現役店舗の建物としては2番目に古いが、店内はしっかりと改装されており綺麗。
いそかわ尼ヶ辻店
尼ヶ辻駅近くののどかな住宅地に1984年開業。2017年の改装で外観も店内もかなり綺麗になった。
いそかわ新生駒店
生駒市に1996年開業。国道168号沿いの商業集積の中にあり、百均も入居、広大な駐車場を完備するなど、80年代までの「郊外住宅地の中にあり、徒歩や自転車でふらっと寄って買い物する小型スーパー」としてのいそかわとは一線を画す店舗。
新生駒という店名は生駒駅北側にいそかわ生駒店(1973年開業)があったからだと思われる。
いそかわ押熊店
高の原と登美ケ丘の間の街、押熊に1998年開業。こちらもならやま大通りという片側二車線の道路沿いにあり、広大な駐車場を完備するなど、新生駒店と似たようなフォーマットの店舗。いそかわ本部が併設されており、今や珍しいひらがなロゴが見られる。
パケット大安寺店
いそかわの新業態・パケットとして2000年開業。
開業当初、2001年6月17日の奈良新聞では
「どことなく高級感が漂い、品ぞろえは普通のスーパーより豊富」
「有線からはバロック音楽が流れ、照明は蛍光灯ではなく暖色系の柔らかい光に統一」
「店内に「いそかわ」のロゴは一切使わず、布や木を生かした商品ディスプレー」
とレポートされている通り、これまでのいそかわのイメージを払拭するかのような高級感を演出していたらしい。しかし、評価は厳しく
「経費節減に向けて動いている時代の流れに逆行」
「同業他社が「果たして高級感の似合う土地柄かどうか」と疑問視」
とも書かれている。
そんなパケットも今では奈良・大阪に4店舗。大安寺店は2022年、隣に新設されたスギ薬局とクリニックモールと合わせて「パケットモール」と名付けられたSCの核店舗としてリニューアルオープン。
当時の方針はどこへ、すっかり「普通のスーパー」寄りになったパケットだが、確かに今のいそかわを支える大事な要素であることは間違いない。
ちなみにこちらも国道24号のロードサイドで広大駐車場完備と、新生駒・押熊の流れを受け継ぐ店舗ではある。
パケット奈良店
いそかわ奈良店として1975年開業。現役いそかわの建物として最も古く、郊外メイン出店のいそかわとしては珍しい、奈良市中心市街地の店舗。
小西通りという奈良ビブレなどもあった商店街にあり、リンゴの塔屋が目を引くいそかわのシンボル的店舗である。さらに、市街地に住む人々の貴重な買い物の場でもある。
売り場は2フロアに分かれるが食品のみの取り扱い。
過去にあった店舗
適当に並べておくので興味ある人は見ていってください。
- 店名(開業年):備考
- 三条(1960):初代奈良店で1983年まで本部があった。創業の地?
- 鴻ノ池(1989):後にパケットになり2021年閉店。
- 生駒(1973):生駒駅北。
- 三条大路
- 大宮(1979):大宮町四丁目交差点付近。
- 橿原(1981):橿原神宮前駅南側。
- 郡山(1980):近鉄郡山駅前。現在の能開センター付近。
- 佐保(1980):佐保小学校付近。
- サンモール(1986):JR奈良駅西側、現在居抜きでサンディ新大宮店。
- 天理(1968):天理駅前、天理ビル内地下。
- 耳成(1982):耳成駅北側。
- マインズ(1983):もちいどのセンター街。現在居抜きでオーケスト。
- 東真菅(1977)
- 西真菅(1982)
- 王寺(1985):現在のイトマンスイミングスクール付近。
- 小泉:富雄川のそば。建物現存。
- 泉が丘(1976):「エリートショップ」という小型店業態だった。
- 帝塚山:帝塚山六丁目。
- 三笠(1980):「エリートショップ」だった。三笠中学校北側。
詳しい場所は下のマップにまとめております。
ギャラリー
帝塚山店の詳細な場所やエリートショップとは何だったのかなど、まだまだ謎が多いいそかわ。情報提供お待ちしております。
いそかわ
— ならロー (@naralocalcenter) 2021年6月20日
かつて奈良県中で栄華を誇った食品スーパー。現在は県北部に8店舗、京都に3店舗展開。CGC加盟。
2000年には高級業態、パケットの出店を開始。
06年にマルヤス傘下になったが、独自路線を貫いている印象。近年は新規出店こそないが、改装には積極的でどの店舗も古いのに綺麗。 pic.twitter.com/os7IKVkSBo
最後にいそかわ様のホームページを貼っておきます。これからも奈良で活躍し続けることを期待しております。